黄銅(ブラス)は、銅と亜鉛を主成分とする合金で、その色が黄金色に似ていることからこの名前がつけられています。亜鉛の割合によって機械的特性や加工性が変わり、さまざまな用途に適用されます。ここでは、黄銅の特性、種類、および用途について詳しく説明します。
黄銅の特性
良好な加工性: 黄銅は非常に加工しやすい材料で、旋削、鍛造、プレス加工、引き抜きなどの加工が容易です。そのため、精密な部品製造に広く利用されます。
優れた耐食性: 銅の成分が多いため、錆びにくく、耐食性が高いです。特に水や湿気の多い環境でも安定した性能を発揮します。
良好な導電性と熱伝導性: 銅に次いで導電性と熱伝導性に優れています。このため、電気部品や放熱材としても使用されることがあります。
装飾性: 光沢のある美しい外観は、装飾品や建築材料としても好まれています。
黄銅の種類
α黄銅: 亜鉛の含有量が少ない(約30%未満)ため、冷間加工に適しています。旋削性や引張強度が高いです。
α+β黄銅: 亜鉛の含有量が30%以上40%未満で、α黄銅よりも硬く、強度がありますが、加工性は若干劣ります。
β黄銅: 亜鉛が40%以上含まれるため、非常に硬くて強いですが、加工は困難です。主に熱間加工されます。
黄銅の用途
機械部品: 耐摩耗性と加工性の良さから、ギアやベアリング、バルブなどの機械部品に利用されます。
建築材料: 手すり、ドアノブ、装飾パネルなど、建築のアクセントとしても使用されます。
楽器: トランペットやサックスなどの金管楽器の材料としても有名です。音響特性に優れています。
電気部品: コネクタや端子など、電気的な接続部品にも使われることがあります。
美術工芸品: 彫刻や装飾品の材料としても人気があります。
黄銅はその美しさと機能性を兼ね備えた材料であり、工業製品から芸術品まで幅広い分野で利用されています。