オーステナイト系ステンレス鋼は、ステンレス鋼の中でも特に人気があり、広範囲に使用されるタイプです。この鋼種は、18%のクロムと8%のニッケルを主な合金成分としています(そのため「18-8ステンレス」とも呼ばれます)。オーステナイト系ステンレス鋼の最大の特徴は、室温での安定したオーステナイト組織にあります。この組織により、非磁性であり、優れた成形性と耐食性を持つことが特徴です。
主な特徴
非磁性: オーステナイト系は、磁石に引かれない非磁性を持っています。
耐食性: 特に、クロムとニッケルの合金成分により、さまざまな腐食に強い耐性を示します。
加工性: 柔らかく、加工しやすいため、深絞りや曲げ加工などが容易に行えます。
溶接性: 良好な溶接性を持ち、様々な溶接方法に適応します。
用途
その特性から、オーステナイト系ステンレス鋼は以下のような用途に適しています。
食品関連機器: 耐食性と清潔さが求められる食品工場の設備や厨房器具。
建築材料: 外壁材や内装材、手すりなど、見た目と耐久性が重要な建築分野。
化学プラント: 腐食性の高い化学薬品を扱う設備や配管。
自動車部品: 耐食性が求められる排気系統の部品など。
種類
オーステナイト系ステンレス鋼には、さまざまな種類がありますが、代表的なものには以下のようなものがあります。
SUS304: 最も一般的なオーステナイト系ステンレス鋼。バランスの取れた性質で幅広い用途に使用されます。
SUS316: モリブデンを添加しているため、SUS304よりも優れた耐食性を持ちます。特に海水や塩分に強いです。
オーステナイト系ステンレス鋼は、その優れた特性から多くの分野で重宝されており、日常生活においても、私たちの身の回りに数多く存在しています。
