工具鋼は、主に工具やダイ(金型)の製造に使用される鋼の一種で、硬度、耐摩耗性、耐熱性などの特性を備えています。これらの特性は、特定の用途に合わせて工具鋼を選定する際の重要な要素となります。
主な特性
硬度: 工具鋼は熱処理によって高い硬度を得ることができ、これにより切削や成形工具としての機能を保ちます。
耐摩耗性: 高い硬度により、摩耗に強いため、長時間にわたる使用に耐えることができます。
靭性: 特定の工具鋼は、高い靭性を持つことで、衝撃や負荷がかかった状況でも破損しにくくなっています。
耐熱性: 高温での性能が要求される用途において、その特性を保持する能力があります。
分類
工具鋼は用途に応じて以下のように分類されることが一般的です:
冷作工具鋼: 主に常温で使用される工具に用いられ、高い硬度と耐摩耗性が求められます。例えば、パンチ、ダイス、冷間鍛造ダイなど。
熱作工具鋼: 高温で使用される工具に適しており、耐熱性が重視されます。鍛造ダイ、押出しダイ、プラスチック成形用の金型などが含まれます。
高速度鋼: 切削工具に使用され、非常に高い硬度と耐熱性を持ちます。ドリルビットやタップ、フライスなどがあります。
用途
切削工具: ドリル、カッター、フライスなど
成形工具: 押し出しダイ、鍛造用金型、プレス金型など
計測工具: ゲージ、カリパーなどの精密測定工具
熱処理
工具鋼の性能を最大限に引き出すためには、適切な熱処理が不可欠です。硬化(焼入れ)と焼戻しのプロセスを通じて、必要な硬度と靭性のバランスを達成します。
工具鋼はその高性能と特定の要件を満たす能力により、多様な工業分野で重要な役割を担っています。適切な鋼の選定と熱処理により、工具の寿命を延ばし、生産性を高めることができます。
